東京都心やその周辺では、地価の高騰に加え、形状が特殊な「細長い土地(狭小地)」が多く存在します。その限られた条件の中で、不動産投資家にとって「どう収益性を最大化するか」は大きなテーマです。
特に都心部での「狭小アパート建築」は、方法によっては初期投資を抑えつつ高い賃料収入を見込める魅力的な手法です。
一方で、設計や構造の選択を誤ると、思わぬコスト増や収益の圧迫につながるリスクもあります。
そこで今回は、狭小地で投資効率を最大化するための構造設計の考え方と、失敗しない建築業者の選び方をわかりやすく解説します。
「都心部に3-4階建ての鉄骨アパートを建てたい」「土地を最大限活かした投資がしたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
なお本記事は、狭小地での投資用物件の設計に豊富な経験をもつ一級建築士の監修のもとお届けしています。

【監修者】
株式会社クリアデザイン
代表取締役
一級建築士 佐藤 洋輔
オーナー様の夢を形にする建築パートナーとして
店舗工事の企画・設計・施工・コンサルティングや
投資用物件の内装・外装工事の企画・設計・施工を一貫して行っております。
細長い土地で建てる狭小アパートの課題

都心部の細長い土地にアパートを建てる際に、多くの不動産投資家が直面する共通の課題があります。それは「耐力壁をどうするか」という構造設計上の問題です。
以下、詳しく解説します。
耐力壁とは? なぜ重要なのか

耐力壁とは、地震や台風などの横揺れから建物を守るために設置される壁のことです。
建物が横方向に揺れた際に支えとなり、倒壊を防ぐ重要な役割を果たします。簡単に言えば、建物をしっかり支えるための「支えの壁」です。
特に細長い建物は、幅が狭いために壁の設置スペースが限られ、横からの揺れに対して非常にバランスを崩しやすい構造になります。このため、どこに耐力壁を配置するかは、建物の安全性を左右する非常に重要なポイントです。
耐震性だけを優先してしまうと、居住スペースや採光性が犠牲になりかねません。
限られた壁スペースの中で、「住みやすさ」と「安全性」をどう両立させるか──
それには、狭小アパート設計ならではの高い技術が必要です。
初期コストを抑えていかに収益性を上げるか
細長い土地で投資目的でアパートを建てる場合は、設計の工夫だけでなく「収益性」も重要な判断軸として考慮しなければいけません。
・初期コストをいかに抑えるか ・限られたスペースのなかで、いかに住戸を確保するか |
このバランスを見誤ると、「投資として魅力がない物件」になってしまう恐れがあるからです。
解決の鍵は「構造選定」と「設計技術」にある
では、これから狭小地に投資用アパートを建てようと考えているオーナーは、何に気をつけるべきでしょうか?
結論はシンプルです。
コストを抑えつつ、必要な強度・快適性を満たせる“構造設計”と、それを形にできる“高い設計力を持つパートナー”を選ぶこと。 |
建築費・収益性・機能性——
あらゆる要素に直結する構造設計の判断こそが、狭小地投資の成否を分ける最も重要なポイントです。
しかしながら、投資用アパート・マンションの建築において、 「どの構造が最適か」「それぞれの特徴と適性は何か」を投資家目線で分かりやすく解説している情報は多くありません。
そこで本記事では次章より、投資用アパート建築で多く採用される「鉄骨造」の構造形式、中でも代表的な「ラーメン構造」と「壁式構造(Kフレーム)」の違いに注目して解説します。
どちらが狭小地での収益最大化に向いているのかを、それぞれのメリット・デメリットを通して具体的に見ていきましょう。
ラーメン構造(重量鉄骨)のメリット・デメリット

「ラーメン構造」とは、建物を支える柱と梁(はり)をガッチリと固定(剛接合)し、その“骨組み”全体で地震や荷重に耐える構造のことです。
主に重量鉄骨造に用いられ、強度が高く、柔軟な設計が可能な点が特徴です。
ラーメン構造のメリット
ラーメン構造のメリットは主に以下が挙げられます。
- 高層建築にも対応可能
10階以上の建物にも対応できるため、大規模な集合住宅や商業ビルに最適です。 - 耐震性が高い
骨組み全体で力を分散して受け止めるため、地震に強く、揺れに対する粘り強さがあります。
向いている建築タイプ:
- 10階以上の高層マンション
- 商業施設を併設した大型集合住宅など
ラーメン構造のデメリット
ラーメン構造のデメリットとしては、特に狭小アパート建築を考えている方にとっては「コスト」と「間取りへの干渉」が課題になりやすいでしょう。
- コストが高くなりやすい
鉄骨の材料費や施工費が高額になるため、初期投資が大きくなりがちです。 - 柱が太くなり、スペース効率が下がる
耐震性確保のため、柱の太さが増す傾向があり、特に狭小地では間取りに制約が出やすくなります。 - 低層の投資用アパートには不向きなケースも
構造のスペックが高すぎて、かえってコストと収益のバランスが取りにくい場合があります。
ラーメン構造は、強度や広い土地で自由度を求める建物には最適な選択ですが、狭小地でコストパフォーマンスを重視する投資用アパートにはやや不向きです。
そのため、目的や敷地条件に応じて慎重に採用を検討することが重要です。
壁式構造(Kフレーム工法)のメリット・デメリット

壁式構造とは、建物の「壁」そのものが耐震性を担う構造方式です。
柱や梁だけで支えるのではなく、建物全体を“面”で支えるため、狭小地においては特に効率のよい構造として選ばれています。
壁式構造のなかでも、「Kフレーム工法」は、鉄骨とパネルを一体化した独自の工法です。
狭小地向けの投資用アパート建築において、コスト・設計効率・収益性の3点をバランスよく実現できる点が大きな魅力です。
以下、投資用物件におすすめなKフレーム工法のメリット・デメリットをご紹介します。
壁式構造(Kフレーム工法)のメリット
Kフレーム工法は、特に狭小地やコストを抑えたい都市部の投資用アパート建築において非常に高いパフォーマンスを発揮します。
Kフレーム工法のメリットとして以下が挙げられます。
- 建物自体のコストを抑えられる
費用の高い重量鉄骨に比べて、建築コストが大幅に削減できます。構造がシンプルで軽量なため、鉄骨量や工事の手間が抑えられ、結果として工費が安く済みます。 - 軽量なため地盤補強コストも抑えられる
Kフレームは鉄骨を使いつつも非常に軽量な構造です。これにより、地盤にかかる負担が小さくなり、杭工事などの地盤改良費用も抑えることが可能です。 - 柱の出っ張りがなく、間取りを最大限活用できる
Kフレームでは柱が室内に出っ張らず、すべて壁厚に納まるため、居住空間をすっきり設計できます。 - 4階建てまで対応可能で、投資効率に優れる
Kフレームは最大4階建てまで対応可能です。初期投資を抑えつつ賃料収入を最大限に引き上げる、非常に理にかなった工法です。
都心部にとくに多い「間口が狭く、細長い土地」でも、Kフレーム工法を取り入れることで土地を最大限に活かした設計がしやすくなります。
向いている建築タイプ:
4階までの投資用の新築マンション・アパート
壁式構造(Kフレーム)のデメリット
Kフレーム工法は狭小地に適した優れた工法ですが、構造的な特性からいくつかの注意点も存在します。導入を検討する際には、以下の点を理解しておくことが大切です。
- 高さに制限があり、4階建てまでが上限
壁式構造は構造上、高層化には不向きです。Kフレームもその例外ではなく、実現可能な建物の高さは4階までに限られます。
そのため、5階建てのプランを検討している場合は、ほかの壁式構造やラーメン構造など他の工法が選択肢となります。 - 窓の大きさや位置に制約がある
Kフレーム工法では壁が構造体の一部となるため、耐力壁に大きな開口を設けることが難しいという特性があります。
これにより、全面ガラス張りのような開放的なデザインは難しく、デザイナーズのような建築には向かない可能性があります。 - 将来的な間取り変更には制限がある
Kフレームは壁そのものが建物を支える構造であるため、耐力壁を取り外すことはできません。
そのため、入居者ニーズの変化に応じたリノベーションや間取り変更が難しいケースもあります。
将来的に柔軟な運用を前提とする場合は、その制限を踏まえた長期的な計画が求められます。
※都心部に多い間口が狭い細長い土地で、うまく耐力壁をとりながらできる限り住戸数を設けるには高度な技術と実績が必要不可欠です。そのため、Kフレーム工法に精通した業者の選定が非常に重要です。 |
Kフレーム工法に精通し実績豊富なクリアデザインでは、お客様の土地の条件に最適な工法をご提案し、限られた土地での収益性の高い物件づくりをお手伝いしております。
当社がご提案可能なKフレーム工法のより詳しい説明はこちら▼
細長い土地での4階アパート建築には「Kフレーム工法」がおすすめ

ここまで、「使用する鉄骨材の違い」についてそれぞれのメリット・デメリットから解説してきました。
まとめると、以下のことがわかりました。
・ラーメン構造(重量鉄骨)は強度が高い反面、重量が重いため10階以上の高層マンションに適している。4階建てアパート・マンションにはコストパフォーマンスが低くなりがち。 |
・壁式構造(Kフレーム工法)は、ラーメン構造(重量鉄骨)に比べてコストを大きく削減できる。また、柱によるデッドスペースが出ないため、住戸面積を最大化しやすい。 |
したがって、都心部のような土地が高くて土地スペースが限られている立地で投資用物件を建てたい場合は、Kフレーム工法で「狭小地 × 4階建て × 低コスト」というアパート投資の形がおすすめといえます。
ただし、特に狭小地でのKフレーム工法では、十分な強度を確保しながら住戸数を確保するには高度な技術が求められます。次の章では、Kフレーム工法を依頼する際の業者の選び方をご紹介します。
Kフレーム工法を依頼するなら、業者選びが成功のカギ

Kフレーム工法は戸建て住宅にも使われることがありますが、集合住宅(アパートやマンション)での活用となると、設計の考え方がまったく異なります。
狭小地×集合住宅の実績があるかを必ずチェックしましょう。 |
【業者選びで注目すべきポイント】
✔ 狭小地におけるKフレーム工法の集合住宅設計に実績があるか
実際に細長い土地や変形地で、Kフレームを活かしてアパート設計を行った経験のある業者であること。実績が公開されている場合は、必ず事例を確認しましょう。
✔ 収益性を重視した設計力があるか
単に建てられるかではなく、「何戸取れるか」「どうやって収益効率を上げるか」まで踏み込んで提案してくれる設計事務所であるかがポイントです。
Kフレーム工法は、狭小地や細長い土地でも効率よく住戸を確保できる非常に優れた工法ですが、そのポテンシャルを最大限に引き出すには「どこに依頼するか」が非常に重要になります。
コストを抑えつつ、必要な強度・快適性・収益性を満たせる“構造設計”と、それを提案して形にできる高い設計力を持つパートナーを選びましょう。
まとめ|細長い土地を活かすには、「Kフレーム工法」に強いクリアデザインへ

本記事では、狭小地で投資効率を最大化するための構造設計の考え方と、失敗しない建築業者の選び方を詳しく解説しました。
都心部に多い細長い土地で投資効率の高いアパートを建てるなら、「Kフレーム工法」がおすすめです。
ただし、先述のとおり、Kフレーム工法は「誰でも使いこなせる汎用的な工法」ではありません。
狭小地という限られた条件の中で、
- 耐力壁の配置
- 採光や通風の確保
- 居住性と収益性の両立
といった要素を同時に成立させるには、一般的な建築事務所では対応が難しく、高い設計技術と構造への深い理解が不可欠です。
東京都渋谷区を拠点にしたクリアデザインは、都心部に多い“細長い土地”や“狭小地”の建築設計に経験と実績のある設計事務所です。
狭小地での集合住宅をKフレーム工法で設計・建築した実績もございます。
このような方はぜひ、クリアデザインへご相談ください。
- 都心部の狭小地や細長い土地に「収益性の高い投資用物件」を建てたいと考えている方
- Kフレーム工法に興味はあるが、設計できる建築事務所が見つからず困っている方
- 以前他社に相談したが「その土地では難しい」と言われてしまった方
- 不動産投資が初めてで、設計や工法の選び方から丁寧にサポートしてほしい方
オーナー様の土地の条件に最適な工法をご提案いたします。